監査TOPICS:会計監査に関する最新情報

日本公認会計士協会会長通牒「「担当者(チームメンバー)の長期的関与とローテーション」に関する取扱い」について

日本公認会計士協会より、2020年2月20日に会長通牒「「担当者(チームメンバー)の長期的関与とローテーション」に関する取扱い」が公表されました。

 


1. 本通牒の概要

監査を実施する上で、依頼人(被監査会社)とその環境の理解は監査品質にとって欠かせないものの、公益の観点から、監査人の独立性の外観を保持して監査の信頼性の基盤を確保した上で、「新たな視点」(フレッシュ・アイ)での監査と被監査会社に関する「十分な知識と経験」を活かして高品質な監査を実施することが重要です。

これに対応し、日本公認会計士協会では、監査業務における独立性の確保に関する多数の利害関係者の懸念も考慮し、独立性を強化するための施策として、2018年4月に「独立性に関する指針」を改正しました。この改正では、監査業務の依頼人が大会社等である場合の業務執行社員等のローテーションを強化するほか、監査業務の担当者(監査補助者)が長期間にわたって監査業務に関与する場合、監査結果に及ぼす影響力等を勘案した上で、長期関与による馴れ合い等の阻害要因の重要性の程度を検討し、必要に応じてローテーションを行うなどのセーフガードを適用することを求めています(チームメンバーのローテーション)。

 

今回の会長通牒では、社会的影響度が特に高い会社の監査に関する上乗せルールとして、

時価総額が概ね5,000億円以上の上場会社を対象とし、監査補助者から連続して業務執行社員に就任する場合の関与期間について下記の取扱いを示しました。

・監査補助者から連続して業務執行社員に就任する場合の阻害要因の重要性の判断

監査業務の担当者の長期関与による公正性及び職業的懐疑心に影響を与え得る馴れ合い及び自己利益の阻害要因の重要性の判断において、監査補助者であった者が、継続して業務執行社員として同一の依頼人に関与する場合、業務執行社員としての関与期間の長さに加え、それ以前の期間の長さも考慮し、関与期間の合計が10年を超える場合には、阻害要因の重要性が高いものとして取り扱う。

なお、同通牒では、この場合の「セーフガード」として、「当該者をローテーションにより監査業務チームから外すこと」が最も直接的な効果が得られるとしています。

 

2. 適用時期

2021年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。

 

なお、本稿は本通牒の概要を記述したものであり、詳細については下記をご参照ください。

日本公認会計士協会

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20200226jfe.html