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(Japanese only) 会計制度委員会研究報告第15号「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」の公表について

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日本公認会計士協会より、2019年5月27日に会計制度委員会研究報告第15号「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」が公表されました。

 


1.本研究報告の概要

 

本研究報告は、役員等に対する株式報酬や業績連動報酬(以下、これらをまとめて「インセンティブ報酬」という)に係る会計上の取扱い等について、これまでの日本公認会計士協会における調査・研究の結果及びこれを踏まえた現時点における考えを取りまとめたものです。

 

〈インセンティブ報酬をめぐる最近の流れ及び会計上の問題〉

「『日本再興戦略』改訂2015」(2015年6月閣議決定)では、我が国企業が国際的に競争力を発揮していくためのコーポレート・ガバナンス強化(改革)の一つの施策として、中長期的に企業価値を向上させることを目的とし、インセンティブ報酬の活用の仕組みづくりを行っていくことを明記しました。これを受け、経済産業省から『コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会』報告書「コーポレート・ガバナンスの実践~企業価値向上に向けたインセンティブと改革~」(2015年7月)が公表され、既に欧米各国において導入されている新たな株式報酬を導入するための法的な論点が整理されました。また、法律面での課題を解決すべくその検討・整理及びインセンティブ報酬の導入を促進するための税務上の手当てが進められています。これらのインセンティブ報酬の制度の整備に伴い、各企業では同報酬の導入・検討が行われています。

これらの動きに対して、各インセンティブ報酬スキームにおける会計上の取扱いは、一部のものに関して会計基準等で明らかになっている部分はあるものの、多くのスキームに関して、その会計処理は会計基準等において明示されていません。このため、実務的には各社がスキームの実態に合わせて適切な会計処理を行うとともに、監査人も実態を踏まえた会計処理の妥当性を検討していることが想定されています。

 

〈本研究報告の意義〉

上記の現状を踏まえ、次々と新しいスキームが生み出される現在の事業環境では、会計処理の実情や基本的な考え方を整理することにも、一定の意義があるものと考えられます。そのため、日本公認会計士協会では、役員や従業員に対するインセンティブ報酬の会計上の取扱いについて研究を重ね、「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」として公表しました。

 

〈本研究報告の構成〉

本研究報告は、本文と付録から構成されます。本文では、現行の会計基準で定められている事項の概要を記載した上で、インセンティブ報酬に関する会計上の主要な論点についての考察をしており、付録では、インセンティブ報酬の一般的なスキームについて、スキームの概要及び税務上の取扱いの概要を記載するとともに、会計処理の背景や具体的な実務上の論点について考察を加えています。本報告では、各論として下記事項の考察を行っています。

〈本文(インセンティブ報酬に関するその他の会計上の論点(各論))〉

・費用化の期間

・費用総額の測定

・事後的な時価変動の反映の要否

・逆インセンティブと会計処理の関係

・種々の発行条件の取扱い

・株価連動型金銭報酬における取扱い

・対象者の相違による取扱い

・親子会社間の制度の取扱い

・信託を用いるスキームにおける取扱い

・株式型のインセンティブ報酬における未公開企業の取扱い

・税効果会計適用上の論点

・開示上の論点

〈付録(インセンティブ報酬のスキーム別の会計処理上の論点)〉

・株式報酬型ストック・オプション

・権利確定条件付き有償新株予約権

・事前交付型譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)

・初年度発行型パフォーマンス・シェア

・役員向け株式交付信託

・業績連動発行型パフォーマンス・シェア(パフォーマンス・シェア・ユニット)

・株価連動型金銭報酬

・時価発行新株予約権信託

・事後交付型譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック・ユニット)

 

なお、本稿は本研究報告の概要を記述したものであり、詳細については下記をご参照ください。

日本公認会計士協会

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20190527zix.html