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(Japanese only) 監査基準委員会報告書「内部監査の利用」、「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価」等の公表について

(Japanese only)

日本公認会計士協会より、2019年6月12日に「監査基準委員会報告書610「内部監査の利用」、監査基準委員会報告書315「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価」及び関連する監査基準委員会報告書の改正が公表されました。

 


1.本報告書等の概要

 

本報告書等は、国際監査基準(InternationalStandardsonAuditing、以下ISAとする)設定機関である国際監査・保証基準審議会(IAASB)において検討された内部監査プロジェクト(改訂版ISA315及びISA610を公表(2013年3月))及び財務諸表の注記事項の監査を強化するプロジェクト(改訂版ISA315等を公表(2015年7月))に対応すべく、関連する監査基準委員会報告書の改正等をするものです。

 

〈改正する監査基準委員会報告書〉

・監査基準委員会報告書610「内部監査人の作業の利用」

・監査基準委員会報告書315「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価」

・監査基準委員会報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」

・監査基準委員会報告書240「財務諸表監査における不正」

・監査基準委員会報告書300「監査計画」

・監査基準委員会報告書320「監査の計画及び実施における重要性」

・監査基準委員会報告書330「評価したリスクに対応する監査人の手続」

・監査基準委員会報告書450「監査の過程で識別した虚偽表示の評価」

 

〈適合修正する監査基準委員会報告書等〉

・監査基準委員会報告書250「財務諸表監査における法令の検討」

・監査基準委員会報告書580「経営者確認書」

・監査基準委員会報告書501「特定項目の監査証拠」

・監査基準委員会報告書550「関連当事者」

・監査基準委員会報告書560「後発事象」

・監査基準委員会研究報告第5号「保証業務実務指針2400に係るQ&A」

 

例えば、内部監査プロジェクトに対応すべく改正された監査基準委員会報告書610では以下のような改正となっています。

改正監査基準委員会報告書610「内部監査人の作業の利用」は、同報告書の範囲を従来から変更し、内部監査の利用に関する実務上の指針から、監査人が監査証拠を入手するために内部監査人の作業を利用する際の、監査人の責任に関する実務上の指針に変更されました。

〈改正前〉

本報告書は、監査人が、監査基準委員会報告書315「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価」第22項に従って、内部監査機能が財務諸表の監査に関連する可能性があると判断する際に、内部監査の利用に関する実務上の指針を提供するものである。

〈改正後〉

本報告書は、監査人が監査証拠を入手するために内部監査人の作業を利用する際の、監査人の責任に関する実務上の指針を提供するものである。

 


 

また、同報告書は内部監査機能に関する予備的な理解に基づき、監査証拠の一部として内部監査人の作業の利用を計画する場合の監査人の責任を記載するものとなったため、その目的は、監査計画としての内部監査利用による監査証拠の入手の判断に変更されました。

〈改正前〉

本報告書における監査人の目的は、内部監査機能が財務諸表の監査に関連する可能性があると判断する場合に、以下の事項について決定することである。

・内部監査人の特定の作業を利用するかどうか、及び当該作業を利用する程度

・内部監査人の特定の作業を利用する場合には、当該作業が財務諸表の監査の目的に照らして適切かどうか

 

〈改正後〉

本報告書における監査人の目的は、企業が内部監査機能を有し、監査人自らが実施する監査手続の種類若しくは時期を変更するか、又は範囲を縮小するために内部監査人の作業の利用を想定する場合に、以下の事項について判断することである。

・内部監査人の作業を利用できるかどうか、及びその場合には、どの領域でどの程度利用するか

・内部監査人の作業を利用する場合、監査の目的に照らして当該作業が適切かどうか


 

2.適用時期

2020年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間監査からの適用されます。

 

なお、本稿は本報告書等の概要を記述したものであり、詳細については下記をご参照ください。

日本公認会計士協会

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20190612sze.html