2026.10/30
テクノロジー委員会研究文書第15号「デジタル監査証拠に関する研究文書」の公表と監査基準報告書500研究文書第1号「電子的監査証拠に係る研究文書」の廃止についての紹介
日本公認会計士協会(テクノロジー委員会)は、テクノロジー委員会研究文書第15号「デジタル監査証拠に関する研究文書」を公表しました。また、本研究文書の公表に伴い、同日付けで監査基準報告書500研究文書第1号「電子的監査証拠に係る研究文書」が廃止されました。
本研究文書は、近年の著しいテクノロジーの発展により企業の業務や財務報告関連の内部統制においてデジタル化(デジタイゼーション、デジタライゼーション、DX等)が進展している状況を受け、デジタル化された監査証拠に対する理解を促進することを目的として取りまとめられたものです。
本研究文書では、「デジタル監査証拠」を「監査人がデジタル情報に対し監査手続を適用した情報」と定義し、物理的な痕跡を残さずに改ざんが容易であるといったデジタル情報の特性を解説しています。その上で、監査人がデジタル監査証拠の証明力を評価する際には、証拠の基礎となる情報の適合性と証明力、特に「真正性(情報が不適切に変更されていないこと)」を慎重に検討する必要性が示されています。
さらに、本研究文書ではテクノロジーの進展とデジタル監査証拠の関連について、以下の8つの具体的なテーマごとに、環境変化、事例、監査上の影響局面(リスク評価・内部統制評価・実証手続等)、および留意すべき事項が詳述されています。
1.スキャナ保存(PDF等のイメージ文書の真正性に関する留意点等)
2.電子署名・電子契約書と暗号化技術(PKI、eシール、タイムスタンプ、S/MIMEの仕組み等)
3.ワークフローシステム(承認ログを活用した監査証拠の評価とIT全般統制の重要性)
4.EDIシステム(電子データ交換による取引の真正性・網羅性の確保やサイバーセキュリティリスク)
5.ブロックチェーン(分散型台帳技術におけるトランザクションデータの信頼性や暗号鍵の管理)
6.クラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaSの類型ごとの統制評価と受託会社監査人の保証報告書の活用)
7.残高確認状の電子化(クラウドサービス等を利用した回収の迅速化と、回答元の真正性・改ざん防止の確保)
8.テクノロジー・ツール(データアナリティクス、プロセスマイニング、AI-OCRの活用と「自動化バイアス」への対応)
本研究文書は、監査人がデジタル情報特有のリスクや特性を踏まえた上で、有効な監査手続を立案・実施するための実務的な参考資料として位置付けられています。
詳細は、日本公認会計士協会の公式ウェブサイトでご確認いただけます。


